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精神と時の部屋(孫家の場合2)

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精神と時の部屋(孫家の場合2)











「悟飯?あー眠っちまったんかー」



修行の最中だというのに急に動かなくなる小さな体



悟飯は慣れない重力の中での修行で無理をしたせいか



気を失うように眠ってしまったのだ




1日目から服がビリビリに破れるほどの修行をしていたことに




悟空はやっと気がついた







「まぁ、無理もねぇ。運んでやっか」



そういうと悟空は寝息をたてる息子をひょいと抱え上げベッドへと運んだ



精神と時の部屋には食料もあれば、シャワーもあり生活するには十分な施設が整っている



ベッドだってふかふかだ




悟空はベッドの上に悟飯をそっと寝かすとふわふわな布団を掛けてやる



息子を寝かしつけるなんてどれくらいぶりだろう



「なんかオラ、父親らしいこと悟飯になんもしてやれてねぇな」




悟空は可愛いわが子の寝顔を見つめながら苦笑いを浮かべた







悟空は修行ばかりの毎日


悟飯は母親から勉強、塾




二人だけの時間はほとんど無いに等しかった





「悟飯ともっと遊んでやったりしてやりてぇな」



悟空はベッドの横に跪き



寝息をたてる悟飯の頬にそっと触れる



白い肌がふわふわして気持ちがいい



穏やかな気持ちが悟空を満たしていく









「お、父さん・・・」




悟空が悟飯の横でウトウトし始めた時、悟飯が目を覚ました






「お父さん!ごめんなさい!僕、修行の途中で眠っちゃってて」



ガバッとベッドから跳ね起き、父親に懺悔する息子




悟空は自分の眠い目をこすりながら悟飯を見る



「わりぃわりぃ、悟飯起こしちまったか」



欠伸をする父親を見れば自分が寝ていたのか父親が寝ていたのか分からなくなる







「あの、お父さん!僕頑張ります!見ていてください!!!」


悟飯はベッドから急いで降りようとする



それを悟空は軽々と受け止め、抱きかかえるように悟飯をベッドへと連れ戻した




「おと、うさん?」



悟飯は理解できないという表情でベッドにしりもちをつく






「悟飯、無理はいけねぇ。おめぇはまだ重力に慣れてねぇ。初日っから無理すっと体がもたねぇぞ」



悟空は優しく、そして力強く悟飯を諭した




しかし悟空も初日の修行でそうとう気合を入れてしまったのか目が真っ赤になっている






「お父さんも、お疲れみたいですよ」



悟飯は面白くなって父親に言う



「お!そっかーオラも寝ちまうかなー」



悟空も立ち上がりおどけて悟飯のベッドの隣にあるベッドに飛び込んだ



飛び込んだ衝撃で大きなベッドが思い切り軋む




「アハハハハ!お父さん、そんなに思い切り飛び込むとベッドが壊れちゃいますよ!」


悟飯は楽しくてケラケラと笑った



悟空も楽しくて悟飯と一緒に笑い転げた








親子の幸せな日々


それは悟空と悟飯に欠けていたであろう生活







精神と時の部屋は修行でもあり生活でもある







悟空が物思いにふけりながらベッドの天井を眺めていると



モゾモゾとわき腹の辺りをくすぐられた




横を見てみると語飯が悟空のベッドに潜り込んできている







「あの、あのお父さん、僕・・・」


悟飯は顔を真っ赤にしながらモジモジと体を揺らしている


上目使いで見たかと思えば、小さな手でベッドの布団をぐしゃぐしゃと乱している









「悟飯、一緒に寝るか?」


悟空はあっさりと悟飯が伝えたいことを言ってくれた





悟飯はあまりにもストレートな表現をする父親に大いに照れてしまって顔を見ることもできない



「あ、あの・・・良いんでしょうか?」




悟飯はチラリと父親の顔を見ると、すぐに逸らしてしまう


悟飯周辺の布団のぐしゃぐしゃが増す




悟空はやれやれといった表情で悟飯の腕をグイと自分の体に寄せた



「うわぁっ!!!」


小さな体はあっという間に父親のベッドに引き寄せられ大きな胸板に鼻をぶつけた





「わりぃわりぃ、強く引っ張りすぎちまった」


ケタケタと父親が笑うたびに厚い胸板が上下する



悟飯は自分の顔が真っ赤になっているだろうと恥ずかしくなって



あまりにも近い位置にいる父親に顔を見せられないでいる




心臓の高鳴りがおさまらない



悟飯は自分が死んでしまうのではないかと心底心配になった






「悟飯?大丈夫か?」


自分の胸の前でずっと小さくおさまっている息子が心配になって悟空が覗き込む





「おと、さん・・・」


悟飯の白い肌が真っ赤に蒸気し、今にも泣きそうな顔をしている




「げぇ!悟飯!でぇじょぶか!!オラが引っ張ったせいだな!」



悟空はすまねぇと悟飯の鼻に優しく触れる






悟飯は鼻が痛いわけではないのにこんなに赤くなってしまう自分が理解できなくて



混乱していた






「お父さん、違うんです。僕、よく分からないんです」



悟飯は消え入りそうな声で父親に訴えた


「ん?分かんねぇって、何がだ?」




涙を浮かべながら訴えてくる息子をなんとか救ってやりたくて


悟空は一生懸命息子の言葉に耳を傾けた





「さっきから胸のドキドキが止まらないんです!お父さんのベッドにきてからずっと」



悟飯は悟空のボロボロになった胴着にしがみつきながら胸に顔を埋めた



小さな体が小刻みに震えている



「悟飯・・・」





息子の体を悟空は抱きしめ、背中を軽くポンポンと叩いてやる




人を落ち着かせるときはこうするのだと、昔ブルマに教わったことがあった







「大丈夫だ、悟飯。オラがいる。お前とずっと一緒にいる。」


悟空は自分に言い聞かせるように息子に伝えた




悟飯もきっと寂しかったんだろうと


一緒にいたくなくて離れていた訳ではない


悟空だって大好きな息子の傍にいつも居てやりたかった




「お父さん・・・」





父親にこんなに強く抱きしめられたのは生まれて初めてかもしれない




悟飯も同じくらい強く悟空の体にしがみついた




べジータに甘ったれがと罵られるだろうと悟飯はふと思ったが



それでも、どうしようもないくらい父親の事が大好きで堪らなかった







いつもみんなに頼りにされている父親


周りにはいつも誰かがいて


二人きりになることは叶わなかった




これは悟飯の究極の願望



子供なら誰しもが持つ欲望








「僕だけのお父さん」







小さく呟いた悟飯の声を聞き取れずに悟空は眠りについた























☆あとがき☆

ちょっぴり野獣化しそうな悟飯ちゃんでしたw

でもまだまだ可愛いものですね♪

お父さんが好き過ぎる悟飯ちゃんにご期待くださいwww